2011年09月09日
被災者長期雇用へ1千億円基金(2011年度3次補正予算案)
東日本大震災からの復興に向け、被災地に安定した雇用を増やすため、厚生労働省は7日、岩手、宮城、福島など被災地各県に新たな基金を作る方針を固めました。長期雇用を増やした企業に助成金を出すもので、2011年度第3次補正予算案で1千億円超を要求します。
被災地では来月中旬以降、失業手当の給付が切れて無収入になる人が急増する見込みです。現在、国が資金を出して各都道府県が設けている雇用創出基金では、おもに雇用期間が原則1年以内で「つなぎ雇用」と位置づけられる仕事が提供されています。補助的な事務職など、経験や技術は問われないですが賃金も少ない仕事が多く、長期の安定した仕事を求める被災者のニーズとずれが生じていました。
新たな基金の対象は1年以上の雇用契約。3年程度にわたって、雇い入れ、教育訓練、定着支援と段階ごとに助成金を出します。金額は雇い入れた従業員1人あたり計100万~200万円を検討しています。今回、補正で予算が付けば、複数年度にわたって活用できます。
基金による助成が産業政策としても効果を発揮するよう、各県で新規性があり、地域経済にもプラスがあると判断した事業を中心に対象とします。分野としては、復興基本方針に基づき、成長が期待される再生可能エネルギーや、介護や医療を地域ぐるみで提供する地域包括ケアのほか、農林漁業や観光など幅広い業種を想定しています。
また、被災地の高齢化に対応するため、新たな基金には、「職人の技」を次世代に伝える事業など、高齢者向けに働ける場をつくる事業を支援するメニューも設けます。地域に根ざした事業を発掘するため、高齢者向けは市町村に事業の採択権限をもたせるとともに、NPOも助成対象とします。
現在の雇用創出基金は08年のリーマン・ショック後の不況対策としてできました。東日本大震災を受け、11年度第1次補正予算で500億円積み増されています。
(朝日新聞 2011年9月8日)
Posted by 和田 健 at 06:06│Comments(0)
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